
グリーンのある暮らしに憧れつつも、ちゃんと育てられるか不安な人も多いはず。基本の育て方や道具、おすすめの植物を園芸のプロが初心者向けにガイドします!
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条件に合わせて、お気に入りを選ぼう! 初心者向けグリーン
これから植物を育てたいと思っている人に、基本のキを教えてくれるのは、『プロトリーフ二子玉川本店』スタッフの佐藤健太さん。
「無機質な空間に有機的な美しさをプラスできる植物は、リラックス効果も高く、生活に豊かさや楽しみを与えてくれます。最近は、水耕栽培など、土を使わない栽培方法のものも増えているので、環境に適した植物を選んで挑戦してみてください」
初心者が植物を育てる上で、特に気を付けたいのが水やりの頻度。
「観察することは大事ですが、世話の焼きすぎは注意。一般的な観葉植物は、土の表面が乾燥したら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりすればOK。土が湿った状態が長く続くと、根腐れしたり、傷んだりして長く楽しめなくなります」
判断に迷ったら、購入店に相談するか、ネットにも育て方の情報がたくさんあるので参考にしてみて。気軽に緑のある暮らしを始めよう。
これだけは用意したい道具と、選び方。

育てる植物によって道具も選び方も変わってくるが、基本的に必要な道具は、ジョーロ、霧吹き、無機質用土、殺虫殺菌剤、の4つ。水やり用のジョーロは、植物の大きさや量に合わせて使いやすいものを1つ選ぼう。霧吹きは、観葉植物の葉が乾燥しないように水を吹きかける“葉水”のためのもの。特に冷暖房を使用する時期は空中湿度低下により、静電気で葉にホコリがつき、葉が傷みやすくなるため定期的な葉水を行うこと。次に無機質用土は、室内で植物を育てたいが、コバエなどの虫が苦手という方におすすめで、カビの発生を抑える効果も。最後に、室内外かかわらず病害虫が発生する可能性があるため、スプレータイプの殺虫殺菌剤があるとよい。2週間~1か月に一回程度撒いておくと、害虫の予防にもなる。
お部屋環境&ライフスタイル別おすすめ植物10選。
初心者でも育てやすい植物を佐藤さんがセレクト。住環境や性格に合ったものを選べば、無理なく失敗せずに育てることができるはず。
こまめに世話を焼くのが好きなら…

良い意味で「やることが多い」植物。
水の要求量が比較的多いのが、ウンベラータ、アルテシマ、ベンガレンシスなどのフィカス系(ゴムの木)。「生育旺盛な植物で、特に今の時期は成長期。水やりはもちろん、葉水も頻繁に行うとよいでしょう。葉が増えすぎて風通しが悪くなるので剪定も必要になります。古くなった葉や長くなりすぎた枝を一緒にカットしてあげて」
ほったらかしOK希望なら…

乾燥に強く、水やりは少なくてOK。
忙しい方やズボラさんには、モンステラがおすすめ。「熱帯雨林に自生している植物ですが、乾燥にすこぶる強いため、水を頻繁にやらなくても枯れることはありません。逆に世話しすぎると根腐れする可能性があるので気を付けて」。パキラと、エレファンティペスなどのユッカ系、デレメンシスなどのドラセナ系も比較的ほったらかしOK。
エアコンが直撃する部屋なら…

乾燥に負けない、葉が厚い品種を。
「植物にエアコンの風が直接当たってしまうと、過度に乾燥して葉が傷み、枯れてしまう場合が。だからできるだけ直撃させないように置くべきですが、置き場所を選べないなら、葉が厚くて硬めなパキラなら比較的強風にも耐えられるでしょう。ただし葉水はこまめに行うこと」。エレファンティペスなどのユッカ系も風に強い。
日当たりが悪い部屋なら…

葉焼けしやすいので、弱光線でOK。
日陰に強い観葉植物が、デレメンシスなどのドラセナ系。「耐陰性に優れている植物なので、逆に急に日に当てると葉っぱが焼けたりするので、天気が良いからと日光浴させるのは避けましょう」。ポトス、バーキン、ホワイトプリンセスなどのフィロデンドロン系、アルボリコラ、アルボリコラホンコンなどのシェフレラ系も比較的暗所向き。
日差しが強い部屋なら…

日照を好む生育旺盛な樹種を。
日当たりが良い場所で、すくすく育つエバーフレッシュとウンベラータ、アルテシマ、ベンガレンシスなどのフィカス系がおすすめ。「生命力の強いフィカス系。水やりは環境や季節により頻度を変えて。エバーフレッシュは細かい葉が密生しており、お手入れしないとパラパラと落ちてくるので、定期的な葉水も忘れずに」
虫が湧くのが怖いなら…

人気上昇中のハイドロカルチャー。
ハイドロカルチャーとは、品種名でなく水耕栽培苗のこと。「用土を使わない栽培のため、土中の有機分を好んで湧いてくるコバエなどの虫の発生率が低くなり、カビも抑制できるため室内でも清潔に育てることができます」。植物と一緒にハイドロカルチャー専用の肥料を購入すると、栄養失調を防止でき、すくすくと成長してくれる。
とにかく見た目重視! なら…

シンボリックに飾れて存在感抜群。
世界の熱帯から温帯に約600種が自生するシェフレラなど、樹木っぽい観葉植物がおしゃれ。「個々に樹形や幹の太さなどが違うため、自然樹形の野性的なデザインから、生産者がS字に曲げた仕立て物まで、デザインも様々で、一期一会の出合いが楽しめます」。ウンベラータ、アルテシマ、ベンガレンシスなどのフィカス系も人気。
料理に使いたいなら…

収穫した後も味わいを楽しめる。
柑橘系やハーブ系は、屋外で育てるのが基本。「おすすめはレモン。この時期に植えると、今秋に収穫できます。ただ来年も育てたいなら木に負担をかけないように、ビー玉くらいの実がつき始めたら、ひとつの枝に実を2~3個残して、ほかは摘み取りましょう」。バジル、シソ、ミントなどのハーブ系も群生するので、頻繁に収穫できるのが魅力。
土を触るのが苦手なら…

土も植木鉢も不要なエアプランツ。
エアプランツは、木や岩などに根を張って自生する着生植物のこと。「水は必要なので、定期的に葉水を与えたり、バケツに水を張って10分ぐらい浸けてあげるとよいでしょう」。チランジア、ビカクシダなど個性的な形が愛らしい。カーテンレールに引っかけたり、お皿にちょこんと置いたり、手軽に飾れるためインテリアにもピッタリ。
個性的な植物がいいなら…

奇怪な容姿や独特のフォルムが人気。
愛好家が増えている珍奇植物(ビザールプランツ)と呼ばれる植物。人気はパキポディウム、アガベ、ビカクシダなど。「日差しが強く、水も少ないような過酷な環境を好むため、水はけの良い土に植えたり、太陽光に近い強度がとれる育成光ライトを用いたりと、栽培環境をしっかり整える必要がありますが、その分育てがいはピカイチ」
お話を伺った方 佐藤健太さん
Profile
東京・二子玉川の『プロトリーフ二子玉川本店』スタッフ。観葉植物をはじめ多種多様な商品を取り揃え、園芸相談にも対応。YouTube「プロトリーフチャンネル」でも育て方を解説。
anan 2452号(2025年6月25日発売)より
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MAGAZINE マガジン

No.2452掲載
ライフスタイルと家電。
2025年06月25日発売
暮らしをアップデートする際に、それをアシストしてくれるのは最新の便利アイテムたち。リアルに役立つ情報を集めたライフスタイル&家電特集。厳しい暑さ対策から不調にアプローチしてくれる家電、部屋に取り入れるグリーン、そして電子決済時代のミニマルなお財布…、すぐに取り入れたいガジェットばかりを集めました。スペシャルグラビアには綾野剛さん&亀梨和也さんが登場。CLOSE UPには、吉沢亮さん&板垣李光人さん、そして話題の映画『君がトクベツ』からLiKE LEGENDが登場! 貴重なメンバー全員での撮りおろしグラビアをお見逃しなく!