
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「ふるさと納税を見直そう」です。
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ふるさと納税を見直そう

小野(おの)くみさん ふるさと納税コンサルタント。お得な返礼品情報だけではなく自治体、事業者を応援するようなトピックを発信する。返礼品のコンサルタント事業やイベント企画のほか、メディアへの寄稿・出演も多い。
地道奈子(じみち・なこ/28歳・派遣社員) 既婚・子なしのDINKS。新NISAへの移行を無事に終えて一息。ポイ活に精を出しつつ、サブスクやスマホなど、新しい固定費の見直しを、目下模索中。
ふるさと納税のポイント付与が廃止に
奈子 ふるさと納税、またルールが変わると聞いたんですが…。
小野 はい。これまでふるさと納税のポータルサイトから寄付額に応じて付与されていた各種ポイントは、10月から廃止になります。
奈子 なぜ見直しが?
小野 今回の改正は、ポイント付与や還元率競争が過熱するなか、「自治体を応援する」というふるさと納税本来の趣旨に立ち返るべく実施されるものなんです。
奈子 なるほど! 返礼品などを考えると、寄付額すべてが自治体に入るわけではないですもんね。
小野 ええ。返礼品は寄付額の3割以下、かつ送料や事務手数料などの経費を合わせて5割以下と決められているので、仮に1万円寄付した場合、自治体の税収としては約5000円に。
奈子 およそ半額かぁ…。返礼品がもらえるのはうれしいけど、寄付という本来の趣旨に沿うなら、もっと自治体のためになる形を考えてもいいのかもしれないですね。
小野 それは素敵な視点だと思います! 最近は、自治体の直接的な支援につながるような返礼品や制度も充実してきていますよ。
自治体をより支援できるふるさと納税を知ろう
小野 まずは、自治体の手間を軽減するもの。たとえば毎年のように起こる自然災害の復興支援。ふるさと納税で行うことは可能ですが、受領証の発行など自治体の事務作業も大変に。寄付の際「代理寄付」という制度を活用すれば、負担を軽減して復興関連の作業に専念できる環境づくりにつながります。各ポータルサイトで災害支援を選択する際、代理寄付を請け負う自治体を探してみてください。
奈子 ぜひ活用したいです!
小野 また、地元経済に直接貢献できるものもおすすめです。
奈子 直接?
小野 体験型の返礼品やクラウドファンディング型ふるさと納税がそう。モノの返礼品は受け取ったら終わりですが、体験型は自治体に足を運びますよね。その際にお金を使ったり、土地の魅力に触れて「また行ってみたい」と思うなど、地域経済の活性化に。
奈子 クラウドファンディング型もそうなんですか?
小野 具体的なプロジェクトに対して寄付できるので、直接貢献できる度合いは高いと思います。
奈子 確かに、応援したいと思えるプロジェクトに寄付できるのは、用途が明確でいいかも!
小野 詳しくは下にまとめているので、ぜひチェックしてみて。
奈子 ありがとうございます! 寄付先の選択肢が広がりそうです。
自治体へのさらなる支援につながる、おすすめのふるさと納税
意識したいのは社会貢献という視点。返礼品やポイントだけでなく、寄付先の発展につながる寄付かどうかを考えて選ぶとより意義あるものに。
“代理寄付”による被災地支援
ふるさと納税で災害支援の寄付をする際、活用したい制度。被災していない自治体が代理でふるさと納税の寄付を受け付け、被災自治体に寄付金だけを送付する。被災自治体は、ふるさと納税に関わる事務作業の負担を軽減でき、復興に注力できるのが特徴。ポータルサイトの災害支援ページなどから、代理寄付を請け負う自治体を選択できる。
さらなる経済効果を生む“体験型の返礼品”
イベントやアクティビティ、宿泊券、食事券、テーマパークの入場券など体験型の返礼品。返礼品を使用する際は自治体に足を運ぶため、その土地の魅力に触れるプロモーション的な側面も。また、現地滞在時の飲食や物品購入などを通して地域経済の活性化にも貢献できる。
地域産業の発展に貢献できる“クラウドファンディング型”
ふるさと納税の制度を利用して、資金を募るクラウドファンディング型。地域が抱える課題の解決や、地元企業の新規事業の活動資金など、社会的意義が高いものが多く、寄付金の用途が明確なのが特徴。地域の応援・貢献というふるさと納税の本来の目的に近い。
諸経費分まで寄付に回せる“直接納付”
ふるさと納税のポータルサイトを介さず、自治体のホームページなどから直接寄付する方法。掲載手数料がかからないため、同じ寄付額でも自治体が受け取る金額が多くなる。ただし支払い方法が限られたり、小規模の自治体では対応が煩雑になる場合があるため注意が必要。
イラスト・小迎裕美子 取材、文・宮尾仁美
anan 2460号(2025年8月27日発売)より