今、なぜか惹きつけられる人には、どんな共通点があるのか? 振る舞いやコミュニケーションをはじめ、マインド面から“惹かれる人”を探求し、魅力的なアクションを起こすためのTIPSを読み解きます。
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お話を伺った方々
Profile
清田隆之
文筆家、「桃山商事」代表。コミュニケーション、男性性、恋愛、人間関係などについて語るポッドキャスト『桃山商事』を、おおよそ週に1回配信中。近著に『戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ』(太田出版)がある。
詠月
えいげつ 書道家。書道や礼法など和文化を国内外に発信する「一般社団法人リボーンアカデミー」代表。これまで6000人以上を指導し、講師育成にも注力。著書『「品のいい人」が大切にしている「和」の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が話題。
気遣い文化に変化が!? 自分の気持ちを素直に言える人こそ魅力的
「素敵な人だな」「あの人とまた会いたい」…。そんなふうに周りの人から思われる“惹かれる人”には、どんな共通点があるのだろう。まずは昨今の対人関係の傾向として、文筆家で「桃山商事」代表の清田隆之さんは、こう言及する。
「令和以降は、タイパ、コスパを重視したライフスタイルが浸透し、ハラスメントに対する意識も高まってきました。そんな社会背景もあり、近年は、極力相手の個人的な領域に立ち入らないように気を遣うことが、コミュニケーションの主流となっているように思います」
しかし、こうした風潮に風穴をあける存在こそ、いま惹かれる人なのではと清田さんは言う。
「昨年末に、Netflixで配信された恋愛リアリティショー『ラヴ上等』が話題になりましたが、ここに登場したメンバーのコミュニケーションは遠慮とは真逆といえる直球さ。そんな彼らが、まさに多くの人の惹かれる存在となったのは、注目すべきこと。もちろん、相手の嫌がることはしないなど、基本的な気遣いはありますが、そのうえで後悔しないために自分の気持ちを相手にぶつけていく。そこに、今ならではの惹かれる人のヒントがある気がします」
和文化がもたらす品格の身につけ方を伝えている書道家の詠月さんも、“素直さ”は惹かれる人のキーワードだという。
「素直な言葉は心に響きますし、相手との心理的な距離感を縮める力があると思います。ただ、それも相手への思いやりを持っていることが前提です。自分の意見を一方的にさらけ出すのは、素直の履き違え。相手の気持ちを考慮したうえで、素直な言葉で語れる人は素敵ですし、また会いたいと思われるはず」
それは古来、日本で大切にされてきた礼節にも繋がること。
「礼節とは、相手に対して敬意や思いやりを持った振る舞いのこと。そもそも礼節のある人は魅力的ですが、その風習が薄れつつある今だからこそ、より輝いて見える。惹かれる人の特徴といえるでしょう」(詠月さん)
“惹かれる人”ってどんな人?
① 空気を読み合う風潮に縛られない率直さ
惹かれる人の新機軸の要素として清田さんが注目しているのが、『ラヴ上等』で繰り広げられたようなストレートなコミュニケーション。「番組に登場したメンバーは、アプローチするにせよ、断るにせよ、とにかく自分の気持ちを率直に伝えていたのが印象的で。令和的な空気を読み合うコミュニケーションもなければ、男性からのアプローチを女性が待つという旧来的な価値観だけではありません。その清々しさが、今の時代ある種のカウンターとなり、多くの人の心を掴んだのでは」
また、率直な言葉とともに、なぜその発言に至ったのかがセットで語られると、発言者への関心がさらに高まるという。「ストレートな物言いに、最初は驚くこともあると思うんです。でも、その背景が語られると、その人がどんな人生を歩んできたのかがわかり、人物像に説得力やリアリティが増します。つまり、単なる友人から、気になる人に変化する可能性があるのです。自分の本音をさらけ出すのが難しい時代だからこそ、そんな人たちの魅力が輝くのだと思います」(清田さん)
② 役割から外れてBeing=ありのままの自分が垣間見える人
例えば、職場にいる時の自分、友だちと一緒にいる時の自分など、人は無意識のうちにその場にふさわしい役割を演じがち。「それを自分が社会的にやるべきこと=『Doing』と定義すると、その対極にあるのが『Being』。こちらは感情を大事にする、ありのままの自分のこと。今の時代はいかにきちんとした人であるか、つまり『Doing』重視の傾向にありますが、こと恋愛となると、『Doing』一辺倒ではなかなか距離が縮まらず、惹かれるという感情も起きにくいのではないでしょうか」(清田さん)
そんななか、カギとなるのは「Being」。「『Doing』で社会的な役割を守りつつも、ふいに出てくるタメ口とか、いたずらっぽい発言とか…。“ありのままのその人”が垣間見えた時に、相手はドキッとすると思います。『Being』的な魅力を持つ人として、SNSでは吉高由里子さんがよく挙げられていますよね。自覚的にできることではないと思いますが、『Doing』を少し緩める意識を持つだけでも違ってくるのかも」(清田さん)
③ 人となりが伝わる「感情の見える」振る舞い
「Being」にも繋がることとして、「感情の見える」振る舞いも惹かれる人の特徴に挙げられると、清田さんは考える。「楽しい、嬉しいなどポジティブな感情だけでなく、眠い、機嫌が悪いなどネガティブな感情も見せてくれたほうが、人として面白いし、人柄も伝わるので、相手は安心すると思うんです。逆に、いつも機嫌よく、円滑なコミュニケーションで終始する人は、何を考えているのかわからず、不安になってしまうかも」
ひと昔前は、“愛想の良さ”が恋愛市場では求められる風潮もあったけれど…。「仕事ではそういうスキルが必要な場面もあるかもしれませんが、プライベートで、しかも対等な関係なら、なおさら自分をつくる必要はないと思います。それに、いつも愛想のいい自分で相手に気に入られてしまったら、その後、不機嫌な自分を出しにくくなってしまうのではないでしょうか。たとえ恋人になったとしても、その関係は長続きしないはず。喜怒哀楽を出すことを恐れず、それが魅力に映ると思って大丈夫です」(清田さん)
④ 古き良き礼節や丁寧な所作が身についていること
礼節は、相手を敬ったうえで場面に応じた節度ある振る舞いをすること。空気を読み合う令和的なコミュニケーションと似ているようで、関係性に一線を引くようなそれとは少し違う。「礼節には、相手への思いやりが込められています。自分本位ではなく、他者視点。そんな温かな人に好感を抱くのは必然ではないでしょうか」(詠月さん)
最近は薄れつつある文化だけれど、身につけたい場合はどんなことを意識するとよいのだろう。「まずは人と会った時に、自分のことを話すよりも先に、『最近どう?』『ご家族は元気にしている?』など相手の様子を尋ねること。それだけでも相手を大切に思っていることが伝わるはず。また、挨拶をする時は、相手の目を見て『こんにちは』と言ってからお辞儀をしましょう。これが礼節ある挨拶の仕方です。『こんにちは』と言いながら頭を下げる人もいると思いますが、それでは片手間に見えてしまいます。礼節が身につくと、内面から美しさがにじみ出てくる。素敵な人と思われるようになるのです」(詠月さん)
⑤「ひと手間」を大切にするコミュニケーション
SNSでのコミュニケーションが主流の時代。なんでもオンラインで手軽に済ませるのではなく「ひと手間」を大切にする人にはエレガントな魅力が宿るという。「例えば、お礼のメッセージが手書きのハガキや手紙で届いたら、受け取った人は『なんて丁寧な人なんだろう』と嬉しくなるのではないでしょうか。アナログな手法では、その人の字から伝わる温かさなど、特有の魅力が伝わります。住所がわからない時は、ハガキを写真に撮ってメールで送るなど。そんな心遣いができる人は、素敵ですよね」(詠月さん)
ほかにも、惹かれる人に顕著なひと手間というと、「和文化の作法がその代表格。作法というと堅苦しく感じられるかもしれませんが、手土産を紙袋ではなく風呂敷に包んで持っていく、などがその一例です。風呂敷がなければ、手書きのメッセージを添えるのもいいと思います。また、お客さまを自宅でおもてなしする時は、急須で淹れたお茶や、鰹節を削って出汁をとった料理をお出しするなども、和文化のひと手間です」(詠月さん)。
⑥ 語尾をやわらかく、ゆっくりと話す
惹かれる人に共通する話し方として詠月さんが挙げたのは、ゆっくり話すこと。「例えば、相手の言葉に自分の言葉を重ねるような話し方は、少しせっかちな印象に。一方、相手の言葉を最後まできちんと聞いたうえで返答する人には、その余裕を持てるだけの品性を感じます。また、文末を言い切ると、雑であったり、自分の意見を押し付けたりしているような印象になりますが、『~だと思います』などクッションとなる言葉で締めくくる人には柔軟さが感じられ、『もっとこの人と話してみたい』という気持ちになりますよね」
やわらかな話し方といえば、「大和言葉」にもその特徴があるという。「大和言葉は中国から漢語が伝わる前から、日本で使われていた言葉です。漢字には音読みと訓読みがありますが、訓読みでできている言葉が大和言葉と考えるとよいでしょう。例えば、音読みの『案外』は訓読みでは『思いのほか』、『待望』は『心待ちにする』など。惹かれる人の話に耳を傾けると、大和言葉を多用している、というケースは多いはず」(詠月さん)
⑦ 自分を大切にしていること
相手に対する思いやりを大切にするのはもちろん、それ以前に自分を大切にしている人にこそ、魅力は宿るという。「そもそも自分を大切にできないと、人を大切にすることなんてできないと思います。だからといって自分本位になるということでは、もちろんありません。例えば、自分のために花を1輪活けてみたり、朝起きたらお香をたいて部屋を清めたりなど。そんなふうに日々の生活の中でささやかでもご自愛を取り入れている人は、他者にも優しくできるはず。そうした人は、やっぱり魅力的ですよね」(詠月さん)
礼節など、自分の生まれ育った国の文化を知ることが自分を大切にすることに繋がるとも。「そうすることで、自分のルーツがわかり、軸がしっかりすることにも繋がります。また、自分への理解が深まり、自愛の気持ちも育まれるでしょう。とくに礼節や大和言葉は和文化の代表格です。長年日本に根付いてきた文化なので本能的にその心地よさを感じます。だから、それが身についている人に惹かれるのです」(詠月さん)
anan 2483号(2026年2月10日発売)より




















