
上白石萌音さんが歌手デビュー10周年イヤーの第一弾として、アルバム『texte』を発表しました。
「『自分は何を大事にして歌っているんだろう?』とすごく考えたレコーディングでした」
歌手デビュー10周年イヤーの第一弾として、デビュー作『chouchou』と同じ“映像作品の音楽を歌う”というテーマで作られたアルバム『texte』を発表した上白石萌音さん。丁寧に向き合った珠玉のカバーとオリジナルの計8曲が並ぶ。映画『スワロウテイル』の主題歌「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」のカバーはオリジナルを手がけた小林武史さんが新たにアレンジを加えた。
「『スワロウテイル』は大学生の時に観て深くえぐられた映画。『Swallowtail Butterfly』は作品を体現しているようで、とても好きな曲なので思い切って選曲しました。Charaさんのようには歌えないので、『自分は何を大事にして歌っているんだろう?』ということをすごく考えたレコーディングでした。小林武史さんが直々に歌のディレクションをしてくださってとても贅沢な経験でした」
『ラ・ラ・ランド』の劇中歌「AUDITION(THE FOOLS WHO DREAM)」は映画のヒット記念舞台挨拶でカバーしたことがあるが、「コロナ禍を経た今、歌っておきたかった」という。
「コロナ禍で不要不急のものが後回しにされ、アーティストの方たちはやり場のない気持ちになったと思うんです。私もこの曲を聴くと沸々とその頃の気持ちが蘇る気がします。私たちの仕事は不安定ですし、直接命に関わってはいませんが、夢を見て命を燃やしている人が多くいるということを叫んでいる曲だと思うので、コロナ禍を経て響き方が大きく変わったと思っています」
歌とお芝居、両方があるからこそ確実に得られるものがある
ライブでのバンドメンバーと一緒にスタジオで録音した。
「すごい緊張感の中で録ったライブバージョンと言ってもいいテイクです。テンポがない曲なので私のブレスや楽器の揺れに合わせていく形で作り上げていったんですが、ミュージカル映画の曲ですし、生モノな感じがとても気に入ってます」
上白石さんが主人公のひとり、安子を演じたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の主題歌「アルデバラン」も収められている。
「出演作の主題歌で、しかも『カムカムエヴリバディ』の主人公は私一人ではないので私がこの曲を歌っていいかとても悩みました。結果的に思い切って歌うことにしてよかったと思っています。ドラマでは安子が娘を日本に残して渡米した後の何十年かが描かれなかったんですが、『アルデバラン』をレコーディングする中で、安子は多分アメリカの教会で讃美歌を聴きながら娘に想いを馳せたんだろうなと感じ、その気持ちが通じたのか諸見里修(もろみざと・しゅう)さんがゴスペル調のアレンジにしてくださった。自分が演じたからこそ深いところまで入っていけたし、安子の空白がやっと埋まった気がしたんです」
俳優と音楽活動を両立させてきてよかったと思うことを聞いた。
「必要な技術や知識や準備することは全く違いますが、結局は自分が頭の中で考えていることや感じていることをどうアウトプットするか、どう息を吸って吐くか、どう言葉を発音するかという表現なので、お芝居と歌が一緒だと感じることが多いんです。いろんな人に学び、多くの勉強をし、できるだけ多様なアングルで表現を捉えてきたことで2倍のインプットがある気がします。歌うために学んだことがお芝居に生きることもありますし、逆もしかりです。しっかりバランスをとれているかはわかりませんが、両方があるからこそ確実に得られるものがあります」
Profile
上白石萌音
かみしらいし・もね 1998年1月27日、鹿児島県生まれ。2011年、俳優デビュー。2016年、歌手デビュー。2021年、『NHK紅白歌合戦』出場。今年3月~4月にライブを開催。10月、歌手デビュー10周年を迎える。
information

アルバム『texte』
デビュー作『chouchou』と同じ“映像作品にまつわる楽曲を歌う”というテーマで選曲された全8曲を収録。【初回限定盤(CD+DVD、3方背スリーブケース付き)】 ¥5,500 【通常盤(CD)】 ¥2,970(ユニバーサルミュージック)
写真・小笠原真紀 スタイリスト・嶋岡 隆 北村 梓(共にOffice Shimarl) ヘア&メイク・冨永朋子 取材、文・小松香里
anan 2485号(2026年2月25日発売)より














