
漫画『グリッタリング』の作者、中陸なかさんにインタビュー。
人が次の光に向かって進んでいくさまを描きたかった
夢を追いかける女の子たちの輝きを活写した、中陸なかさんの『グリッタリング』。“がんばる”をめぐり、さまざまな思いが交錯する2編を収録。表題作は、有名なキッズタレントだった未浬(みり)とアイドルを夢見ている日依里(ひより)の物語だ。
「夢を内に閉じ込めたまま前へ進めずにいる未浬と、強い光のようにまっすぐに届く日依里の一途さ。構成を練る中で、互いの思いが反射し合うような物語にしたいと思いました。未浬は努力でひとつひとつを積み上げていく凛とした子で、日依里は素朴で天然素材のような子。そんな対照的なイメージで、顔立ちや性格を肉付けしていきました」
未浬は日依里に「今から(アイドルを)目指すって遅くない?」「小さい頃から努力している人はいっぱいいる」等々、歯に衣着せずものを言う。だがそれは何かを夢見た誰もが、自らに問いかけずにはいられない言葉でもあるだろう。その迷いを「ダメでもやるだけはやらないと後悔する」と日依里ははねのけてくれる。夢に向かっていく人たちへのエールがちりばめられている。

Ⓒ中陸なか/祥伝社FEEL COMICS
「芸能のことは詳しくないので、自分がマンガを描いてきた経験に置き換えて考えました。自分の器の小ささに恥ずかしくなったり、才能があるのにあっさり辞める人に驚いたり。また、才能を突き詰めることがその人にとっての幸せとは限らないということも、年月を重ねて感じるようになりましたね。そんな入り組んだ思いも詰め込んでいます」
ストーリーの面白さもさることながら、作中で、未浬がキッズタレント時代の曲を踊るシーンが圧巻だ。
「山岸凉子先生の『アラベスク』をはじめ、踊っている女性の体のラインが小さい頃から好きだったので、作画に苦労するだろうと思いつつ、挑戦してみました。読者にも注目してもらえたらうれしいですね。ただ、描き終えてみて、あらためて、この世の舞踊マンガを描かれている先生方のすごさを実感しました(笑)」
併録されている「グローイング」では、アイドルになる夢に挫折し、ボーカルトレーナーのアシスタントとしてアイドルと関わる女性・椰月(なつき)と、練習生アキの絆が描かれる。
「“好き”だけでは報われない苦しさは、自分もマンガを描く中で感じることがあって、その心情を椰月に重ねることもありました。周りを見ていると、過去に何かに打ち込んでいた人は、別の道に行っても強いと感じることが多かった。そういう人が次の光に向かって進んでいくさまを描きたかったんです」
立ち止まっている人にこそ薦めたい珠玉のコミックだ。
Profile
中陸なか
なかおか・なか 岡山県出身。仕事からの現実逃避で、社会人になってからマンガを描くことにのめり込む。出版社から声をかけられ、2016年にデビュー。
information
『グリッタリング』
日依里は「オーディションを受けるのでダンスを教えてほしい」と未浬に頼み込む。熱意に押され、未浬は引き受けることに。併録作に、日依里がカメオ出演。祥伝社 858円
anan 2496号(2026年5月20日発売)より



















