えんぷてい、リリースした3rdアルバムは“えんぷていとは何か?” その正体を提示したセルフタイトルに

5人組バンド・えんぷてぃが6月10日に自身の名を冠した3rdアルバム『えんぷてい』をリリース。本アルバムに込めた想いを聞いた。


我々なりの寂しさや喪失感をさわやかに昇華しました

一聴しただけで心を掴まれる、鮮やかなポップスを鳴らすえんぷてい。ニューアルバムのタイトルは、バンド名を冠した『えんぷてい』だ。

「バンド名をアルバムタイトルにする発想は、昔からありました。でも、メンバーの成長や音楽に打ち込める時間を作れるまで温めていて。ようやく『セルフタイトルをつけるなら、これしかない』となりましたね」(奥中)

また、今作はバンドのあり方そのものを表しているという。

「“えんぷていとは何か?”を表現したかったんです。僕らは今年27〜28歳になるんですけど、この年齢って夢と現実を真剣に考えたり、人生が変わっていく顕著な時期だと思うんです。東京に住んで4年、この街にはひときわ輝こうとする人で溢れています。だけど、きっとその全てが夢を叶えるわけではないと、渋谷に向かうバスの窓辺で、ふと目に入った大きな広告に写る若者を見て馳せていました。そこにある、胸の奥に冷たい風がヒュッと通るような、寂しさに似た感情。これがえんぷていの根幹に通底するものではないかと、その時思ったんです。その感情を据えて、音や歌詞で表現することが本作のコンセプトの一つでした」(奥中)

全10曲の中から、思い入れ深い楽曲を挙げてもらった。

「僕は『えんぷてい』です。特に聴いてほしいのが、アウトロ。最初に丁寧なフレーズを作った上で、『試しにスピードアップして打ち込んでみるか』と言って、あの爆発的な演奏が生まれたんです。手応えがある分、曲を聴くたびにニヤけちゃいます」(神谷)

「『君はきっと』は演奏してて楽しい半面、歌詞は〈君はきっと上手くいくと思うから/もう会わないよ〉と歌っていて。メロディとの意外性があるし、晴れやかな寂しさを感じるところが気に入ってます」(石嶋)

「『バタフライエフェクト』ですね。音もそうですけど、歌詞が本当に良い。個人の中にある胸を焦がすような切なくて甘い記憶を秘めた上で、現実を生きていく。人間のいじらしさや尊さを、この曲から感じます」(比志島)

「個人的に思い入れ深いのは、最後の『銀河に浮かべて』。ほかの曲は緻密かつ精密に、フレーズを作っているんですけど、この曲はわざと隙があるんです。ロジカルだけど脱力してるところが好きです」(赤塚)

奥中さんは映画『世界の中心で、愛をさけぶ』を観て歌詞を書き上げた「あなたの形の霧の中で」と、全体のバランスが整っているという「だから」を挙げた。最後は読者に向けて一言。

「我々なりの寂しさや喪失感をさわやかに昇華しました。生活の中でずっと触れていたい音像と内容になっていると思いますので、ぜひ手に取って確かめてみてください」(奥中)

Profile

えんぷてい

左から、神谷幸宏(Dr)、石嶋一貴(Key)、奥中康一郎(Vo/Gt)、比志島國和(Gt)、赤塚舜(Ba)。2020年に結成。'24年3月、タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」に登場し、様々な大型フェスにも出演。6月19日から東名阪ツアーを開催する。

information

『えんぷてい』

3rdアルバム。先行配信曲「あなたの形の霧の中で」をはじめ、タイトル曲「えんぷてい」、結成当初から演奏されている楽曲を再録した「煙(2026ver.)」を含む全10曲。【CD】 ¥3,850(E.M.P.T. RECORDS)

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写真・前田拓也(TRON) 取材、文・真貝聡

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No.2500掲載

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