
舞台『スリーゴースト』に出演する倉科カナさんにインタビュー。
私はどこまで自由に動けるのかの枠組みが知りたくて
舞台『スリーゴースト』は、劇作家サイモン・スティーヴンスと演出家ショーン・ホームズという、世界で活躍する演劇人のふたりがタッグを組み、初演される新作。
「まだ体験したことのない演出を受けてみたいと思っていた中、今回のお話をいただきました。海外のクリエイターの方々とご一緒する機会はなかなかありませんし、痛い目をみたとしても、ちゃんと経験しておきたくてチャレンジを決めました」
近年、精力的に舞台に出演し、2022年には読売演劇大賞優秀女優賞も受賞している倉科カナさん。
「新たな自分の引き出しを見つけられるかもしれないお仕事に惹かれるんです。とくに今回は海外の方で、自分とは違う感覚もお持ちでしょうから、どんな気づきを得られ成長できるか、期待しているんですよ」
演出のショーンさんは、2022年の舞台『セールスマンの死』など、これまでも日本で何作かの舞台を演出。観客の想像力を喚起して作品の本質的なテーマを浮かび上がらせる演出に定評がある。
「ショーンさんの演出する舞台を拝見させていただいた時、戯曲がよりブラッシュアップされた印象がありました。今回の作品は、身近なようで幻想的で、どこか掴みどころがないんです。でもステージングの小野寺修二さんが、可視化が難しい世界観を面白く具現化してくださるんじゃないかなと楽しみにしています」
物語の軸になるのは、人が見る夢をデジタル化して再現する未来のガジェット「リープマインド」。そこに希望を感じている主人公・ジョー(堺雅人)と、妻のハナ(倉科カナ)、ハナの姉・ミカ(伊勢佳世)らが絡み、展開されていく。
「社会派の作品であり、時事ネタみたいなものもちりばめつつ、SF的要素もあって、人間ドラマでもあります。ゴーストがタイトルにあるように、かつて実在していた人が、実体はなくなっても誰かの思い出となって生き続けていく、みたいなことがテーマになっていて。それを抱えていくのが、私が演じるハナでもあるし、伊勢さんの役柄でもあります。ハナは感覚が鋭く、見えない存在に対してもすごく敏感で、おかしいことをおかしいと言える、理性的で模範的な人でもあります。でも、衝撃的なことが起きる中で、どんどん感情が膨らんでいってしまう。難易度高めの物語で、私自身もまだ自分の役に精一杯ですべてを受け止められていませんが、いろんなことを考えさせられる作品だと思います」
ハナの「よくも悪くも真面目なところは自分に近いかも」と苦笑。
「この仕事をやっていくうえでは、ちょっと破天荒なぐらいのほうが合っているような気がするんです。個性で押していけるタイプに憧れますが、私は、周りを見ながらコツコツやるしかないんですよね…」
しかし、そのバランス感や、台本を丁寧に読み込む真面目さが、今、多くの演出家や監督の信頼を得ているのは間違いない。舞台の現場では毎回、稽古場に大きなメモ帳を持ち込み、自分の目標や気づき、演出家から受けた指摘など、ひとつひとつを箇条書きにして書くのだそう。
「失敗を恥ずかしがるのではなく、私はどこまで自由に動けるのかの枠組みが知りたくて、積極的に失敗をもらいにいきます。それができるのが舞台の面白さだと思っています」
Profile
倉科カナ
くらしな・かな 1987年12月23日生まれ、熊本県出身。連続テレビ小説『ウェルかめ』で注目を集め、ドラマや舞台で活躍。近作に、ドラマ『浮浪雲』、映画『正直不動産』などがある。
information

舞台『スリーゴースト』
妻・ハナ(倉科)を顧みず、夢を記録し再現するガジェットの宣伝契約を取ることに奔走するジョー(堺)。念願の案件を獲得するが、その成功は空虚なものだった…。
10月6日(火)~27日(火) 東京・PARCO劇場 作/サイモン・スティーヴンス 演出/ショーン・ホームズ 出演/堺雅人、倉科カナ、伊勢佳世、迫田孝也、sara、小日向星一、高畑淳子、段田安則 全席指定1万2000円ほか パルコステージ TEL. 03-3477-5858 岡山、大阪、愛知、宮崎、福岡公演あり。
写真・KAZUYUKI EBISAWA(makiura office) スタイリスト・清原愛花 ヘア&メイク・堀川知佳 インタビュー、文・望月リサ
anan 2513号(2026年9月30日発売)より
































