意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イラン・アメリカ停戦協議」です。
停戦協議で仲介役。世界に存在感を示したパキスタン
4月11日、バンス副大統領率いるアメリカ代表団と、ガリバフ国会議長率いるイランの代表団がパキスタンのイスラマバードに集い、21時間にわたり1回目の停戦協議を行いましたが、合意には至りませんでした。
ただ、この争いのベースにあるのは、イランとイランが支援する諸外国勢力と、イスラエルの戦争です。イスラエル国内では、ネタニヤフ政権に対して、「戦争を止めるな」という批判の声が上がっており、イランとアメリカの2週間の停戦合意がなされた直後も、イスラエルはレバノンに対して大規模空爆を行い、停戦合意違反だとイランは強く反発していました。トランプ大統領はネタニヤフ大統領に攻撃をやめるよう繰り返し言っていますが、聞き入れられない状況が続いています。
イスラエル側からすれば自分たちが正義で、私たちの土地を脅かす武装組織、レバノンのヒズボラを根本から絶たなければ攻撃され続けるという思いがあり、逆にイスラム原理主義者にとっても「聖戦」という意識なんです。そうして、イスラエルはイラン、シリア、イエメンのフーシ派、パレスチナのハマス、さらに背後にある北朝鮮や中国、ロシアと緊張関係にあります。
これまではアメリカが中東とイスラエルの間に入り、世界の安定を築いてきましたが、近年はその役割を果たせなくなっています。今回、イランとアメリカの仲介役を買って出たのはパキスタン。パキスタンは昨年5月、インドと緊張が高まった時に、トランプ大統領の仲介により即時停戦になりました。以来、パキスタンのシャリフ首相はトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するなど、信頼を深めています。
パキスタンはイランとも良好な関係を築いており、ペルシャ湾岸の国々とも密接な関係を維持しています。安全保障上、インド以外の国と関係を強めていきたい狙いがあり、中国とも友好関係に。今、中国が前面に出ると、アメリカとハレーションを起こしてしまうため、パキスタンが仲介実務を担うのは好都合でした。しかし、パキスタンも核保有国。国際法があちこちで破られる中、世界の秩序は力によって守られるのかと複雑な思いになります。
五月女ケイ子解読員から一言

トランプは救世主のつもりかもですが、世界はさらにごちゃつきを増しているようで不安です。アメリカだけでは停戦に踏み切れない難しさがある中、ここにきてパキスタンのような第三者が間に入ることで、わずかな希望が見える気がします。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2494号(2026年5月1日発売)より


















