
パック売りが定番の身近な海藻、もずくとめかぶ。腸にいいのはわかっているけれど、具体的な効能や、そもそも両者の違いは…? 知っているようで知らない腸活二大巨頭(!)を徹底解説します。
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胃を守り、腸を整える。春こそ海藻を摂る季節!
「もずくはピロリ菌の繁殖を防ぐフコイダン、めかぶは逆流性食道炎に有効なアルギン酸が豊富と、どちらも胃によい食材なんです。さらにその両方が水溶性食物繊維。そのまま腸まで届いて善玉菌のエサになり、腸内環境を改善してくれる。腸内環境が整うと便通だけでなく肌や筋肉など美容にもいい影響が多々あります」(医師・江田証さん)
そして薬膳の観点からも今、海藻を食べることにはメリットが。
「薬膳では冬は黒い食材、春は緑の食材が体によいとされます。冬から春へのゆらぎを感じる今、海藻は最適な食材。しかも春が旬なので、今なら栄養も豊富。冷える日は生姜を添えて、また酢や油と摂ることで腸活効果もさらに上がるので、体調によって合わせる食材も変えてみては」(料理家・井澤由美子さん)
おいしくて効能豊かなもずく&めかぶ。でも食べすぎには注意が必要。
「ヨウ素が多く、特にめかぶは豊富。甲状腺機能に影響を及ぼすので、1日1食を目安に」(江田さん)
それぞれの違いと共通点は?
めかぶ
わかめの生殖細胞が集まった根元の部分。肉厚でサクサク、コリコリとした歯応えとアルギン酸を豊富に含む強い粘りが特徴。加熱すると粘りは増す。3月~4月が旬で、産地は宮城県と岩手県で全体の約7割を占める。
注目不調改善成分:胃薬としても使われる、“アルギン酸”
めかぶの主要栄養素。胃の中で膜状の物質を作ることで、食道に酸が逆流するのを防ぎ、逆流性食道炎に効果を発揮。腸では水溶性食物繊維として善玉菌のエサとなる。耐熱性が高く、100°Cまで加熱しても栄養はキープ!
もずく
日本の温かい海に生息する海藻の一種。他の海藻にくっつく形で成長するため「もづく(藻づく)」という名前が付いたのだそう。多くは沖縄産で、太いオキナワモズクが主流だけれど、糸状で滑らかな細もずくもある。
注目不調改善成分:善玉菌のエサになる、“フコイダン”
もずくに多く含まれる水溶性食物繊維の一種。胃壁をコートし、ピロリ菌や胃酸から胃粘膜を守る。また分解されず大腸まで届くため腸内病原菌を減らし便秘の改善にも。200°Cまで組織が壊れないので加熱調理にも向く。
両者ともに腸活のスーパーエリート
大腸に直接届く水溶性食物繊維

フコイダンもアルギン酸も水溶性食物繊維。人間の消化酵素では分解できないため大腸までそのまま届く。そこで腸内細菌によって発酵、分解されて善玉菌のエサとなり、免疫力向上と整腸作用のある短鎖脂肪酸を生み出す。
顔のシワやたるみも少なくなる?

もずく&めかぶの整腸作用は見た目の若々しさにも関係が。表情筋や背筋などの「抗重力筋」の活性を担うホルモン、セロトニンは90%が腸内で作られるので、腸内環境が整うと、たるみや姿勢の改善が期待できる。
ベジファーストならぬ「海藻ファースト」

血管に負荷をかける血糖値の急上昇。特に夜間の絶食後の朝食は血糖値が上がりやすい。食前にもずくやめかぶを摂ると、水溶性食物繊維が糖の吸収を穏やかにし、急激な上昇を抑えてくれる。食事の5分前に食べると有効。
体を守り、働きを高めるポイント
大量摂取はNG。1日1パックを目安に
水溶性食物繊維は1日3g~10gが目標量。「とはいえ、もずくもめかぶも食べすぎはヨウ素の過剰摂取につながるので野菜や豆類と合わせて目標量を目指しましょう。また今日はめかぶなら明日はもずく…などローテーションして食べるといいですよ」(江田さん)
納豆など「菌そのもの」とは相乗効果が
「プレバイオティクスとは海藻などの腸内善玉菌のエサになる食品や成分のこと。単体でも健康効果はありますが、納豆や味噌、キムチなど善玉菌そのもののプロバイオティクス食品と一緒に摂るとシンバイオティクス=相乗効果で腸内をより効率よく整えられます」(江田さん)
「油」と「酢」が吸収をよくする
もずくやめかぶに含まれるフコキサンチンは抗酸化、抗肥満成分。「フコキサンチンは油と一緒に摂ると吸収効率が上がります。オリーブ油やアマニ油など体にいい油とぜひ一緒に。また海藻中のミネラルの吸収力を上げる酢とともに摂るのもおすすめです」(江田さん)
パック・生・乾燥、各タイプのおいしい食べ方
すぐに食べたい、アレンジ無限大なパックタイプ

2つのパックをミックス。「もずくめかぶ」に/パックのもずくとめかぶを1:1で混ぜて食べる、斬新な合わせ技! 「それぞれの栄養をまとめて摂取できるのはもちろん、もずく酢の酸味とめかぶの塩味が合わさって、また違うおいしさになります。食感の妙も楽しみの一つ。だまされたかも!? と思って、一度試していただきたいです」(井澤さん)。もちろん、食べすぎにはご注意を。

美肌&腸活! 納豆×油×酢/善玉菌のエサとなるもずく&めかぶに、菌そのものの納豆を混ぜるシンバイオティクス的食べ方。そこに油と酢をプラスすればさらなる腸活に。「もずく酢ならすでに酢が入っているので気軽にトライできるはず。ごま油を加えれば中華風、オリーブオイルはきゅうり、トマトなどを合わせてサラダ風…など加える油で味変も」(井澤さん)

スープにも◎。ポイントは最後にIN!/高温でも栄養が損なわれにくい両者だけれど「加熱はサッと!」が鉄則。「特に汁物は最後に加えるくらいがいいですね」。スープなら栄養豊富な旬の素材と一緒に摂れてヘルシーさもさらに向上。「今の季節なら、ざく切り春キャベツと鶏肉を煮込み、最後にもずくやめかぶを加える。春の揺らぎをケアする食べ合わせです」(井澤さん)
井澤さん直伝、春が旬! 実は下処理カンタンな生タイプ

めかぶの下処理
① 沸騰したお湯にめかぶを入れ、1株につき3~4分茹でる。鮮やかな緑に変わったら茹で上がりのサイン。ヒダに汚れがたまっていることがあるので、茹でる前によく洗って。
② 包丁で茎とヒダに分けて、食べやすい大きさに刻む。細切りが基本だが、包丁でたたく、またはフードチョッパーで細かくしてもOK。切っている間に特有の粘りが増してくる。
③ 1食分ずつに小分けにしてラップに包み、冷蔵または冷凍で保存。冷凍だと1か月ほどもつ。また茎の部分だけ刻んで、ごま油などで炒め物にしても歯応えがあって美味。
おすすめMENU
- めかぶシュウマイ
- めかぶとカニカマのマヨネーズ和え
- めかぶとキウイの塩麹和え
POINT
めかぶは切ってから茹でてもOK。茹でることで粘りが強くなるので、包丁が苦手な人は先に細切りにしてからサッとお湯にくぐらせる手もあり。
もずくの下処理
① ボウルに水をはり、もずくを洗う。ごみや汚れがついていることも多いので、ていねいに指で汚れを振り落とすようなイメージで。もずくは茹でることなくそのまま食せる。
② ざるにあげて、流水でさっと洗い流せば完成。生もずくは鮮度が落ちるスピードが速いので、2~3日で食べ切ろう。まずはポン酢や甘酢をかけて、シンプルに鮮度を楽しみたい。
おすすめMENU
- もずくの天ぷら
- もずくの茶碗蒸し
- もずくと豚肉のチャンプルー
ちょい足し派にも手軽な常備食材乾燥タイプ

あらゆる料理の「まとめ役」として活躍/種類により太さや戻し時間もさまざまだが、手軽に使うなら細めのものがおすすめ。「スープにそのまま入れたり、調理中に戻しながら使えます。スープや炒め物に入れればとろみがつき、料理全体をまとめる効果も」(井澤さん)。一方で、水に戻すことで20倍以上に膨らむので「少なめかな?」くらいの分量から始めるのが失敗しないコツ。
海藻パワーが活きたこんな商品も!

うま藻/栄養価とともに旨みも海藻の魅力。こちらは沖縄の小さな藻100%の天然うま味調味料。青魚をはるかに超えるDHAと、羅臼昆布の1 .5倍以上の旨みを併せ持つ。味はからすみのようで、炒め物に和え麺にと万能。1g×10袋入り ¥1,620 。https://umamo.jp/
教えてくれた方々
Profile
江田 証
えだ・あかし 消化器専門医、江田クリニック院長。ピロリ菌や胃がんリスクを研究する一方、腸内環境改善の見識も深い。著者に『新しい腸の教科書 健康なカラダは、すべて腸から始まる』(池田書店)などがある。
井澤由美子
いざわ・ゆみこ 料理家、養生デザイナー、調理師として日常的なメニューはもちろん、国際中医師・国際中医薬膳師として食材の効能を活かした食べ方を提案。著書に『まるごと海藻レシピBOOK』(家の光協会)など。
anan 2488号(2026年3月18日発売)より


















