
近年、耳にする機会も増えたリスキリング。やりたい仕事に就くためにはもちろん、これからはスキルを身につけ続けることが重要になるという。学びの一歩を踏み出すために必要な情報をまとめました。
キャリアアップや人生の不安軽減に
これからやりたい仕事や明確なキャリアゴールのために必要なスキルを分析し、実際に学んで身につけていくリスキリング。
「転職に限らず、たとえ同じ社内であっても、職種が少し変わるなど仕事が変わるところがリスキリングの出発点に。副業やパラレルキャリアとしても使える、仕事の柱を増やすような感覚ともいえます。収入をはじめ今の生活に不満がある場合は、新たなスキルを身につけることを検討してみていいと思います」(人材育成コンサルタント・清水久三子さん)
また、今はスキルを習得し続けることが、身を助ける時代でもあるという。
「人生100年時代の今は、一つの仕事だけで一生を終えることは難しくなっています。また、求められる仕事が変化するスピードが速く、スキルの賞味期限が年といわれる時代でもあり、何かしらのスキルを“身につけ続ける”ことも、不安に支配されない人生を送るためには重要です。
必要に迫られて慌てて動き出すのではなく、日頃から新しく身につけられそうなスキルを考えて学んでおくなど、変化への耐性をつけることが大切。今の若い世代では転職が一般的になり、リスキリングへの抵抗感は少なくなっています。
また、コロナ禍を経てオンライン講座が増え、住む場所の垣根なく新しいスキルを身につけやすい。自分の興味が向くものや楽しいと思えるものを見つけたら、スモールステップでいいので、動き出してみましょう」
これで解決!リスキリングお悩みQ&A
リスキリングを始めようか悩んでいる人が抱えやすい、スキルの選び方、費用、時間捻出という3つのお悩みに、清水さんが回答。一歩踏み出す時に、役に立つこと間違いなし。
どんなスキルを学べばいいのかわからない
自分の強みを生かせる仕事がヒントに。自分の興味や趣味をスキルにしても◎。
まずは仕事に関する自分の強みと弱みを分析するところからスタート。
「自分の資質や才能を見極められる『クリフトンストレングス・テスト』などの診断ツールや、AIを活用して分析するのもおすすめです。そして、強みを生かせる仕事、そのために必要なスキル、身につけるためにやるべきことを書き出すことで見えてくるはずです。
また、興味があることや趣味などをスキルとして高めていくのも有効。大事なのは、最初から“私にはこれ!”と決めつけないこと。やってみると合わなかったというケースも多いので、フットワーク軽く、いろいろなワークショップや体験講座などに参加して様子を見て。参加者から情報収集でき、気になる世界との繋がりが生まれる機会にもなります」(清水さん)
スキルを学ぶのにかかる費用が心配
スキル系YouTubeや定額で利用できるオンライン学習サービスを活用しよう。
今は、学習に便利なコスパのいいツールが数多く存在する。
「スキル系のYouTubeチャンネルはもちろん、9000本以上の動画講座が受講できる『Schoo』や、ビジネス系動画学習サービス『GLOBIS学び放題』など、定額で使えるオンライン学習ツールなどを活用しましょう。高いお金を支払って学校に通ったり講座を受けるのは、そのスキルが必要だと確信できてからで遅くありません。やっぱり違ったと思った時にお金のことで後戻りできないのは辛いです」(清水さん)
日々忙しくて、なかなか学ぶ時間を作れない
“やらないこと”を決めてムダな時間をカット。ながら勉強もおすすめ。
スキルを身につけるための勉強は、モチベーション維持のためにも短期決戦が有効。時間の捻出には、勉強をする期間中の「やらないこと」を決めることがポイントに。
「一度、自分の生活を振り返り、ダラダラとSNSを見ている時間など削れる時間を見つけて、勉強期間中だけは我慢するようにしましょう。スマホのスクリーンタイムを見て、スマホ時間の見直しをするのもいいでしょう。
また、“ながら勉強”もおすすめです。朝の準備中に動画を見る、自宅では動画を流したままにする、Audibleを活用する。長い動画をAIに要約させて時短を図るのもいいでしょう。睡眠時間を削ることは、勉強の効率やモチベーション低下に繋がるので避けてください」(清水さん)
求められる可能性大。おすすめ学び直しスキル
今、そしてこれからの時代に需要があると予測されるスキルをピックアップ。AI全盛期だからこそ求められる思考法からクリエイター系まで、興味のあるものを見つけて。
ロジカルシンキング
物事を体系的に整理し、矛盾のない筋道を立てる思考法で、AI時代の今、注目されている。AIに適切な情報を学習させたり、AIが導き出した答えが本当に正しいか、倫理的に誤りがないかという判断など、社会に有効活用する際に不可欠に。書籍やビジネス系のオンライン学習サービスなどで学べる。
Webデザイン
WebページやWebメディアが増え続け、現在も需要が増加傾向にあり。デザインに関することや、PhotoshopやIllustratorといったデザインツールの知識が必要に。また、ユーザーが使いやすいと感じる操作性を生み出すための設計スキルや、コーディングのスキルがあると、より転職の強みに。
ベビーシッター
子どもの面倒を見るベビーシッターは、AIに取って代われない仕事の一つ。近年は共働き家庭の増加など多様な働き方が広がっていること、保育園に入れないなどの状況に従って、需要が高まっている。保育士や看護師などの資格、「認定ベビーシッター」など民間資格の取得がベター。信頼に繋がる。
動画制作
YouTubeやSNS広告、企業や学校のPR動画、エンタメ系ショート動画制作など、求められる場所が急増中。目的に応じて企画や構成を考え、撮影した素材を編集し、BGMやテロップをつけるなど演出する。撮影スキルや、AdobePremiereProなどの編集ツールの知識習得が必要に。
モデリング
コンピューターを使い、平面で描かれたキャラクターや背景などのスケッチを、三次元に起こすスキル。ゲームやアニメ、映画で用いられるほか、最近は自身でモデリングし、3Dプリンターで制作したリップケースなどの小物を販売する人も。Blenderなど制作ツールの知識が必要。
教えてくれた方
Profile
清水久三子さん
人材育成コンサルタント。ANDCREATE代表。3万人以上を指導したリスキリングのプロ。著書に『リスキリング大全』『プロの課題設定力』(共に東洋経済新報社)など。
anan 2492号(2026年4月15日発売)より















