
カラダを支える大事な役割を果たしている骨。まだまだ遠い先のことと思われがちな骨ケアですが、今からのケアや関心が実はとても重要です。骨を整えて、鍛えて、将来の自分のためにできる、骨にまつわる知識をご紹介します。
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お話を伺った方
Profile
伊藤薫子
いとう・かおるこ 帝国ホテル内「かおるこHappyクリニック」院長。日本整形外科学会専門医。“いくつになっても背筋を伸ばしてハイヒール”をモットーに、女性の骨や関節と向き合うきめ細かな診療に定評がある。
骨を制する者が美と健康を制する。年齢の影響を受けやすい女性は急いで
「カラダの中心にあり、見た目のシルエットの美しさや機能の土台となっているのが骨」と、整形外科医の伊藤薫子さんは言う。
「子どもの頃、紙粘土でお面を作りませんでしたか? 針金に紙を貼ったお面の土台が骨で、その上に盛っていく紙粘土が筋肉や皮膚というイメージです。土台がしっかりしていないとその上に乗っている筋肉が働きにくくなり、皮膚もたるみがちになっていきます」
全身に存在する骨は約200個。それぞれが整って関節がいい位置関係にないと筋肉がきちんと機能しないという。とくに女性は年齢によって骨の質や量に変化が起こりやすいため、骨のケアが不可欠。
「古い骨は壊されて新しい骨が再生されるというように、骨は常に代謝を繰り返しています。その代謝のバランスを保っているのがエストロゲンという女性ホルモン。40代以降、エストロゲンは激減していくので代謝のバランスが崩れて骨が脆くなっていくのです」

20歳にかけて骨密度は急上昇し、40代前半までピークを維持してその後右肩下がり。エストロゲンの分泌量とほぼ同期する。骨の健康に配慮する生活を続けることで、骨密度の維持・アップを目指し、未来の自分を守る「骨貯金」を。
※ 年齢変化と骨トレ生活習慣の意義を伝える概念図です。実測値ではなく、個人差があります。
※ ピンク線の高さ・黒線との差は効果量を示しません。将来の骨量や効果の持続を予測・保証するものではありません。
このグラフのように骨の内部の密度を表す骨密度は20〜40歳がピーク。これは女性ホルモンと骨が密接に関係している証拠。
ただし、たとえ20〜30代の女性でも過度なダイエットなどで女性ホルモンの分泌が減れば、骨は脆くなる。放っておけば、関節の位置がずれて背中の張りや腰痛を引き起こしたり、将来、深刻な骨折に繋がるリスクも高くなるという。
女性ホルモンの助けを借りられなくなってからでは、時すでに遅し。でも、先ほど述べたように骨は常に生まれ変わっている。今から本気のケアをすることで、美しくしなやかな「美骨」を手に入れることは十分に可能。これからのコンディショニングの肝は骨。今からでも間に合うので、早めに取り組もう。
美骨に導くための、2つの条件

骨といえば「硬くて強い」印象があるが、それだけでは不十分。美骨とは「硬さ」と「しなやかさ」、2つの条件を満たす骨のこと。
骨の頑丈さを引き受ける建物のコンクリート部分
美骨の条件① 骨の硬さ
骨の強さには2つの要素がある。そのひとつは、文字通り骨の中の密度が高く、硬さや頑丈さを保証する「骨密度」。「骨密度は建物で言えば、コンクリートの外壁のようなイメージ。医療機器による検査で骨の内部を見たとき、キメが細かい状態は骨密度が高く、カラダの土台としての機能を果たしていると考えられます」
壊れにくい柔軟性を表す建物の柱にあたる部分
美骨の条件② 骨のしなやかさ
骨の強さのもうひとつの要素は骨のしなやかさ。専門用語では「骨質」という。こちらは骨=硬いというイメージとは異なる、骨の弾力性や柔軟性の裏打ち。「骨質は建物で言えば鉄筋の柱にあたります。骨の強度は、全体が100%とすると骨密度70%、骨質30%の割合で組み合わされたもの。この2つを兼ね備えた骨=美骨です」
骨のつくりは建物に似ている!

何らかのアクシデントに見舞われたとき、柱と外壁がしっかりしていれば心配なし。一方、どちらかが、または両方が脆い状態では建物は簡単に崩れてしまう。骨もこれと同じこと。
「骨密度が同じでも骨質の状態がよくないために骨折してしまうということも珍しくありません。どちらも日頃のケアで健全な状態を保つことが大事です」
美骨の作り方と守り方

材料なくしてモノは作れない。まずは骨の材料を積極的に取り入れ、骨を作る刺激をカラダに与え、女性ホルモンを味方につけよう。
週3回程度の頻度のウォーキングで骨を刺激
骨の材料① 運動
適度な運動で骨に刺激を加えると、強い骨を作ることができる。最もおすすめなのはウォーキング。
「着地するごとに自分の体重を負荷にして骨に刺激を与えることができます。といっても歩きすぎは膝に負担がかかるので週に3回程度で各30分くらい。1日4000~8000歩程度のウォーキングで十分です」
カルシウム、ビタミンD、タンパク質を食事で補給
骨の材料② 栄養
骨の材料の代表格であるカルシウム、またカルシウムの吸収を助けるビタミンDの補給がポイント。
「カルシウムは乳製品の他、納豆などの大豆製品にも豊富です。日本人に不足しがちなビタミンDはサケやサバ、きのこなどから補給できます」
骨質の決め手になるタンパク質食品、肉、魚、卵も積極的に食べたい。
女性ホルモンの量は実は骨の状態に直結
骨の材料③ 女性ホルモン
女性ホルモンのエストロゲンは骨の代謝をサポート。逆に加齢や無理なダイエットは骨密度が低下する他、妊娠・授乳期に骨が脆くなる“妊娠授乳関連骨粗鬆症”も最近注目されている。
「出産後は一気に女性ホルモン量が低下し、背骨の圧迫骨折に繋がることも。妊活を考えている方は、その前に骨密度を調べるのがおすすめです」
美骨の嬉しい恩恵

若い頃から始める骨ケアが、将来の人生に大きなメリットをもたらす。もちろん、いま現在の不調を改善するというご利益も。
猫背や反り腰を防いで美姿勢をキープできる
美骨ベネフィット① 美しい姿勢
背骨が丈夫で骨格が整っていると、カラダを支えてまっすぐに立てる。つまり、美しい姿勢が保てるということ。
「クリニックの患者さんは20代でも猫背を気にしている人が多いんです。意識して姿勢を正そうとすると反り腰になって逆に疲れてしまう。でも骨を整えてその上の筋肉を鍛えれば将来的にも美しい姿勢が手に入ります」
若い頃の骨貯金がその後の骨折リスクを防ぐ
美骨ベネフィット② ケガの予防
人生100年時代というが、全員がそれを謳歌しているわけではない。
「歳をとって趣味や旅行など自分の好きなことをしている人、骨折してずっと施設で暮らしている人、というように老後の人生は二極化しています。背骨の圧迫骨折などは閉経期のもっと前、20~30代のうちに骨の元気を保つことで予防することができます」
背骨の配列を整えることでさまざまな不定愁訴を回避
美骨ベネフィット③ 自律神経&内臓整え
脳から背骨に沿って走っている自律神経。骨の健康を保ち、配列を正すことによって自ずと自律神経の働きを整えることも、また可能。
「骨格を整えれば内臓の不快感や精神的なストレス、呼吸が浅くなったり、代謝や血流の滞りなど、自律神経に関わるトラブルが改善される可能性が十分に期待できます」
anan 2517号(2026年10月28日発売)より






























