体調を崩しやすかったり、すぐに体力がなくなってしまう“虚弱体質”を自覚する若い女性たちが増えている近年。スペシャリストからのアドバイスを実践し、“脱虚弱” を目指して少しずつ習慣を変え、毎日を楽しく過ごそう。
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疲労は増え、体力は低下…。Wパンチに対抗するアプローチとは
すぐ体調を崩し、休日は何もする気力が湧かない…。そんな“虚弱”を自認する若い人が増えている。片野秀樹さんが代表理事を務める日本リカバリー協会での調査でも、その実態が明らかに。
「20~30代女性の約9割が疲れを感じています。これは高齢者を含む全年代で最も高い割合です。仕事に家事に、人によっては子育てもあり、心身に大きな負担がかかっているのでしょう。ぜひ、効果的な疲労回復法を取り入れてください」
“虚弱体質”を自覚する人が増えている?

虚弱体質とは、常に「疲れている」と感じたり、体調を崩しやすいこと。ゲームに例えるなら、そもそもHP(ヒットポイント)の総量が少なく、さらにそれもMAXで溜まっていない状態といえる。今回は、このHPを満タンにする疲労回復法を伝授。
疲労回復|ストレスのもとを避ける&回復法で心身の疲労ゼロへ!

疲労のおおもととなるのはストレス。その引き金となるものを“ストレッサー”と呼び、人間関係から天気、意外なところでは香辛料までさまざま。それらを物理的、化学的、生物学的、心理的、社会的ストレッサーの5つに分類しご紹介。ストレッサーから距離を取りながら、心身の健康を取り戻して。
体力増加動ける力=“行動体力”! 6つの要素のレベルアップを。

体力には、体を思い通りに動かす力の“行動体力”と、風邪をひきにくい、メンタルが安定しているなど、ストレスや不調に負けないための“防衛体力”の2種類がある。前者には筋力、筋持久力、心肺持久力、柔軟性、バランス能力、俊敏性・反応力が含まれる。これら6つの要素がバランスよく備わっているのが理想的!
疲れているんだという本能的感覚を無視しない
「疲れは寝れば取れるというのは、大きな間違いです」
と指摘するのは、休養&疲労のスペシャリスト、片野秀樹さん。
「睡眠は疲労を回復する休養法の一つではありますが、唯一ではありません。週末の寝溜めは、週明けに時差ボケを起こすこともあり、むしろ逆効果。寝ることだけが休養という思い込みをなくすことが、疲労回復の第一歩です」
そもそも疲労の正体とは?
「活性酸素による酸化ストレスによって、細胞が傷つけられることによって起こります。体の動きが緩慢になったり、頭の働きが鈍くなったり、本来の能力を発揮できなくなった“状態”が疲労です。混同されがちですが、だるい、億劫と感じることは“疲労感”といいます。この体が発する危険信号を無視して活動を継続できるのは、人間が疲労感を覆い隠す術、“マスキング”を身につけてしまっているから。たとえば犬の散歩中、いくらリードを引っ張っても動かないことがありますよね。この時、犬は疲労感を抱いており、回復するのを待っています。こうした防衛本能を、私たち人間も持っているので、時には疲労感に素直に従い、睡眠以外の方法も用いながら心身の疲れのリセットを」
疲労感が続くと…
初期症状
- 下痢、便秘
- 眠れない
- 筋肉の張り など
興奮の交感神経が昂り、リラックスの副交感神経が抑制された過緊張の状態に陥ると、さまざまな不調が現れる。「肩こりや便秘などは、疲労の初期サイン。無視せず対処を」
マスキングし続けると…ホメオスタシスが乱れ、病気になることも
疲労感は、自分がやらねばという使命感や、栄養剤などで一時的に覆い隠せる。これをマスキングと呼び、それが恒常化すると生命が持つ基本調整機能であるホメオスタシスが乱れ、病気へと至ることもある。
まずは疲労のもとになるストレッサーの種類を知ろう
ストレッサーは種類が多く、こんなものまで!? と驚くものも。結婚や昇進など、おめでたいことも、生活環境が変わるという意味で、人によってはストレッサーとなり得る。すべてを避けて現代社会で生きることはほぼ不可能だからこそ、できる対策を立てることが大切。知識こそが疲労回復のファーストステップ。5種の敵を学ぼう。
物理的ストレッサー

天気、光、揺れetc…。体を物理的に囲み体調に直撃する敵/物理的な環境刺激の代表は、温度、気圧、湿度の変化。テレビの光やブルーライト、横断歩道の白線や建物のガラスによる反射も物理的ストレッサーに。電車や車の振動、人混みもよくない。適度に環境を変えて。
化学的ストレッサー

お気に入りの香水が誰かの疲労のもと!? 過ぎると出現率UP。/化学物質は目、喉、鼻への強い刺激に。好きな香水やシャンプー、柔軟剤の香りが、誰かのストレスになっている可能性も。つけすぎに注意し換気で避けて。人によっては、コショウなどの香辛料やカフェインも対象に。
心理的ストレッサー

自分ごとでなくても見聞きすると心にダメージをくらう/不安など負の感情を与える出来事は、直接体験していなくてもストレスの引き金に。ショッキングな映像やSNSの不快な投稿、「事件・事故がありました」と情報提供を呼びかける看板など。辛い時は視界から遮断。
生物学的ストレッサー

感染症罹患やアレルギー反応時HPを減少させる根源/ウイルスや細菌、ダニや花粉など、体内に入ると免疫反応を引き起こすもの。アレルギー反応のもとには、食べ物や医薬品、金属、ハウスダストなどさまざま。風邪予防をし、アレルギー物質もできるだけ避けよう。
社会的ストレッサー

現代人の心を攻撃する最もメジャーで厄介なモンスター/家族や友人、職場の同僚や上司など、社会生活を営む上で避けて通れないのが人間関係。近年、SNS上での人間関係に悩む人も多い。自分が尊重されていないと感じた瞬間に生まれやすいので、まずは適切な距離を。
疲労を回復させる7タイプの休養
ストレッサーの種類を認識したら、次に知るべきは疲労を回復させる術。7つに分類される休養タイプから、自分のライフスタイルや趣味、気分や体調などに合わせて選び、試したい。たとえば、旅に出たら、自然スポットを訪れたり、陶芸体験をしたり。白湯を飲むにも、場所を変えてベランダで、など休息法を組み合わせるのも効果的。
休息

最も明快な“休養”。体をいたわり回復へ。眠りすぎには注意!/できるだけ何もせずのんびり過ごす消極的休養。休憩・仮眠をとる、ゴロゴロする、寝ることはエネルギー消費を抑え、疲れを取るのに効果的。ソファでくつろぐなど、心身をいたわることも休息型に含まれる。
親交

一瞬でも他者と心を通わせることが上向きマインドに/人や社会との交流を通じて得られる休養。パートナーと手を繋ぐ、同僚に挨拶をする、何気ない会話を楽しむといった行動は心の安らぎをもたらしてくれる。人以外にも、動物や植物、自然からも安らぎを感じられる。
運動

血液循環が回復のキー。疲れている時こそ“攻め”のアクションを/疲労回復を遅らせる老廃物を排出し、酸素を取り込むには、適度に体を動かし、血液を巡らせる必要がある。これをアクティブレスト(積極的休養)と呼び、ヨガ、ジョギングなどの他、オフィスを歩くこともいい。
娯楽

楽しんでストレス発散。のめり込んではっちゃけすぎないで/映画を観る、音楽を聴く、コンサートに出掛ける…。自分が好きなことを思い切り楽しむことでストレスから自分を切り離す。ただし、朝までドラマを一気見したり、疲れるほどゲームを続けたりするのは避けて。
転換

心もちを軽くし疲労感からの切り替えを/自分を取り巻く外部環境を変えることで気分転換をはかる社会的休養。典型的なのは旅行や買い物。そこまでせずとも、机の整理整頓、部屋の掃除や模様替えならお金もかからない。より手軽なのは、服を着替えること。
栄養

元気の源を外部から取り込んで。時には食べない選択も考慮に/バランスのよい食事は大事だが、見過ごしがちなのが消化器を休ませること。温かいもの、柔らかいものを選び、刺激物は避け、胃腸への負担を抑えよう。日頃から腹八分目を心掛け、時にはファスティングをするのもアリ。
造形・想像

疲労回復の鍵の一つ“没頭”を手助けする頭の中の出力作業/絵を描く、料理やお菓子を作る、DIYをするなど、ストレスのない状態で、クリエイティブな活動に没頭しよう。目をつぶって行きたい場所をイメージしたり、楽しかった思い出を振り返るだけでもリフレッシュできる。
教えてくれた方
Profile
片野秀樹
医学博士、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。休養に関するリテラシー向上に取り組み、著書『休養学 あなたを疲れから救う』や『疲労学 毎日がんばるあなたのための』(共に東洋経済新報社)が話題に。
anan 2490号(2026年4月1日発売)より





















